織部茶碗陶芸

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腰幅約11cm×高さ約9cm四方共箱織部茶碗の美しいものは沢山あると思いますが、美麗すぎてもつまらなく、稚拙すぎても面白みがなく。織部というのは作る側も覚悟が居るものかも知れません。この器の口縁の、恐ろしい程の鋭利さ。本当に思い切り手を引けば切れるくらいに鋭く、かつ、流麗なさばき。匂わす枯淡の美の感覚。単に復古を目指す写しという体でなく、野心に満ち溢れた挑戦的な削り。技術の熟練。緑釉の潔さ、文学的な佇まい。腰に巡らされた轆轤の単一な淀みなさ。口の小高さに込められた図太く美しい精神、内側に巡らされた異常なまでの鋭利な削り。濃密で柔らかな胎土にも関わらず粗く、ざらついた肌感を残す程素早く切り込まれた口造り。内側に手をかけて一気に引けば怪我をします。こういう、一種異常な器を作る人は、やはり、等しく孤高の精神と高度の技術を持つ人でなければなりません。巡らされた胴紐のニュアンス、そして裾の張り出した腰。腰淵の削りの配慮。手を添えると完全に吸い付くようなくらいの異常さを感じる縦箆削り。そこから器を回す親指の動きがピッタリと沿うように巡らされた横への篦削り。縦横無尽かつ潔い。桃山陶の器の髄が全く淀みのない手捌きで現されています。ウブのままの時は極めて粗く、強く滑らせると怪我をする程でした。手取りのすくっと、決まり抜いた器の造形に唸らされるでしょう。その割に、釉薬掛けはずしの高台の、なんと乙女な柔らかさ。にも関わらず、立ち上げの削り出し方は突き刺し掘り起こすようで、やはり、一種の異常さを感じさせるのです。こういう器は、時代が何とか、誰の作とか、誰の極みか、ということを問題にさせるものではないでしょう。添えられていた、着物の裾。それに包まれて箱に収められていますが、作者本人がそうして自分の分身のように分け与えた一碗ではと私は感じています。見込みの深さ、そしてその削りの粗さと洗練された美しさ。土感の顕な感じとそれを包む美しい釉薬のラスター。絵付の自由奔放かつおおらかで美しい描かれ方、こだわりすぎていない平坦さ。一陣の風を感じる美しい器です。こういう器を誰もが、日常の中で、あるいは好きな友達と一緒に、使って笑える日々こそ、新たな時代の生活になければならないと思います。どうか、心が動く方に、思い切り使って頂きたく存じます。

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カテゴリー	おもちゃ・ホビー・グッズ > 美術品 > 陶芸
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